日本のビルは大きな地震がきても耐震構造が優れているため、落ち着いて行動すれば命に関わるような倒壊などの恐れはありません。そのため高層ビルや高層マンションなどが増え続けています。しかしこれらのビルは火災が苦手です。
万が一の火災からビル利用者の命を守るために、ビルの避難経路について知っておく必要はあるでしょう。そこで本記事では、ビルの避難経路の点検方法について紹介するので、命を守るためにもぜひ参考にしてみてください。
【もくじ】
・現代の高層ビルで万が一火災が起こったらどうなる?
・ビルから安全に避難するためにあるのが避難経路
・ビルの避難経路の種類
・ビルの避難経路の幅と案内図について
・ビルの避難経路の点検方法について
日本は地震大国であるだけでなく火山大国でもあります。火山の噴火を想定してビルの建設は行われていませんが、巨大な地震で人の命を失わないために、優れた耐震構造でビルが建てられています。
東日本大震災のときにも耐震構造のビルへの被害は少ないものでした。しかしビルは火災には意外と弱いものなのです。煙や炎はビルの上部へ向かって上がっていき、煙を吸うと意識を失い命を奪われる可能性もあります。
そのため、高層ビルではもしもの災害に備えるべく避難経路が確保されており、さらに避難経路は定期的に点検しなければなりません。
避難経路はビルから安全に避難するためにあります。特に高層ビルには火災に備えたシステムや、万が一火災が起きたときにスムーズに逃げるためのハッチや排煙機などが設置されています。
それ以外にも、火災による熱や煙を感知したら作動するスプリンクラーなども設置しなければなりません。そしてこれらの設備は建築基準法や消防法によって必ず設置することが義務付けられています。
ではビルの避難経路の種類について次の項目で紹介していくので、名称や機能そして使い方をご覧ください。
ここではビルの避難経路の種類を紹介します。それぞれ名称も形も使い方も違うものなので、ご自身の利用している建物・ビルなどに設置されている避難経路の種類と使い方を把握するのに役立ててください。
避難はしごはハッチを開けるとはしごが下に向かって落ちていくタイプの避難経路です。このタイプはマンションや団地などに設置されるポピュラーな避難経路です。ハッチを開けるだけではしごが降りるので簡単に使えます。
使い方は簡単ですが、いざ火災や災害が起きているときに使うとなると、慌ててしまって逃げ遅れてしまう可能性があります。まずはチャイルドロックを外さなければハッチが開かないことを頭に入れておきましょう。
いざというときのために、チャイルドロックの外し方をしっかりと覚えてください。避難訓練を定期的に行うのが効果的です。
緩降機はビルの屋上などに設置されるケースが多い避難器具です。一人ずつ屋上から地上へおろしていくための避難器具で、着用して使うまでに時間がかかりますが、はしごのように自分で降りずに済みます。
こちらも使い方をマスターしないと危険が伴う可能性があるため、定期的に避難訓練をして使い方を覚えておくとパニックにならずに済みます。
救助袋は丈夫な筒状の袋を伝わって下へ逃れる避難器具です。こちらも使い方は簡単で、ケースの留め金を外して地上に卸して一人ずつ滑り台の要領で降りていきます。
袋は垂直に垂れているのですが、袋の中でらせん状に降りておくため速度が上がり、落下の衝撃もありません。やはりこちらも使い方を知っておくために訓練が必要です。
自分が利用しているビルにどのタイプの避難器具があるのか、避難器具までの避難経路はどうなっているのかも重要です。次に避難経路の点検方法を紹介します。
まず、ビル避難経路は誰の目にもわかるように看板を設置する必要があります。緑の誘導灯や非常灯の設置がなければなりません。また、避難経路に物を置いてはいけません。
ビルを利用する方が見やすい場所に、避難経路の経路図を提示する義務があるので忘れずに設置してください。気になるのが避難経路の幅ですが、学校などのように両側に部屋がある廊下の場合は2.3mです。
学校でも両側に教室などがない場合は1.8mです。病院などの場合は両側に部屋がある廊下は1.6m、それ以外は1.2m幅となっています。ただし廊下の幅は内法寸法です。
ビルの避難経路の点検についてですが、ビルの避難経路の点検は「機器点検」「総合点検」があります。機器点検とは損傷の確認を目で見てチェックします。この点検は半年に1度行う必要があります。
また、避難器具が適切な位置に配置されているか、すべての方が場所を把握しているかといったことも確認してください。総合点検とは設備の一部やすべての動作テストを行う点検です。頻繁に行いたいところですが年1回が一般的です。
問題はこれらの点検を行うためには資格が必要な点です。防火対象物の消防用設備点検を行うには、消防設備士免許または総務省例が定める消防設備点検資格が必要です。
また、避難器具の点検を行うには消防設備士第5類、または第6類もしくは、消防設備点検資格者第2種が必要です。
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